第10章 〜距離〜
『もう、しぃちゃんには、ほんと敵わない
しぃちゃんが彼氏だったら、絶対、私
バカップルになりそうなくらい惚れるのになー』
『いや、私は、バカップルだけはごめんよ』
と手のひらを桜奈に向けキッパリ
断る詩織。
『えぇー!しぃちゃん、男前だって
褒めてるのにー』と何で?と言う顔
をする桜奈。
『いや、そもそも、私はか弱い乙女志望よ。
男前になってる場合じゃないのよ。
彼氏に守られる女子目指してるんだけど』
『あれ?そうなの?おかしいな。
褒めたつもりだったのに・・・
だって、私からしたらこんな頼り甲斐のある
カッコいい人いないんだけどなぁ。
しぃちゃんは、気持ちが超イケメンの
カッコ可愛い女子なんだけどな・・・』
そう言うと、満面の笑みでにっこりして
またメニューに視線を落とした。
『どれにしようかな・・・どれも、美味しそう』
メニューのページをめくりながら
幸せそうな表情をする桜奈。
そんな桜奈を見つめながら
(///これだもの。この天然の破壊力が
私にはないのよねー。女の私でも
ぐらっときそうなのに、男なら
瞬殺されるわよねー)と、桜奈の
純粋さを眩しく見つめため息を漏らす
詩織だった。
それから、注文を済ませると
桜奈は、詩織に土曜日の出来事を
ことを話し始めたのだった。