第10章 〜距離〜
学校帰り、パンケーキ屋に立ち寄った
桜奈と詩織。
案内され、席に着くと
桜奈は、メニューを見た。
『あれ?桜奈、いつものパンケーキ
にしないの?』と詩織。
『うん、バイトするなら
他の物も味わっておいた方がいいかなって
思って。政宗さんのおかげで、バイトの
面接は受けられることになったしね
まぁ、受かるかどうかは別だけど』
(受かったら、バイト帰り家康さんと
一緒に帰れる日があるかも知れないし)
『へーっ、いつ面接?』
『まだ、詳しい日時は決まってない。
テストの結果も見てみないとね。
勉強はしたけど、今回は邪念が多すぎて
集中できてたか自信ないし』と、少し暗くなる
桜奈。
『恋の悩みを、邪念って表現する桜奈が
修行僧にみえるのは、私の目の錯覚?
えっ、なんかまた、荒業でも
始めたか?』と桜奈に尋ねる詩織。
『あれ?余計なこと考えてるのって
邪念じゃない?表現おかしい?』と首を
傾げる桜奈。
『だって、その邪念って要するに
恋の悩みだよね?徳永さんのこと
考えてるってことでしょ?
恋をしてる人で悩まない人なんていると思う?
どんなに、傍目からみて密着度の高い
ラブラブバカップルに見える
人達でさえ、悩み抱えてると思うよ?』
『ラブラブバカップルって、幸せそうな人達を
えぐるねー、しぃちゃん。』と
辛辣な詩織に呆れ顔の桜奈。