第10章 〜距離〜
学校に到着すると、下駄箱のところに
光成がいた。
『上杉さん、小野寺さん、おはよう』
ニコッと、朝からキラースマイルで
挨拶する光成。
『うわっ、朝から爽やか過ぎて目眩が
するわ〜』と手の甲を額に当てふらつく
素ぶりをする詩織。
『おはよう、岩田君』ニコッと挨拶する
桜奈。
手の甲を額に当てたまま、『おはよう』と
挨拶する詩織。
『勉強は、捗った?まぁ、優秀な家庭教師が
ついてるもんね。僕も凄く助かったよ
徳永さんに、改めてお礼を伝えといて
もらえる?宜しくね。』
徳永と聞いて、一瞬表情を曇らす桜奈
しかし、直ぐに『うん、分かった。徳永さんに
伝えておくね!』と、いつもと変わらない
笑顔で答えた。
(なんか、あった・・・?)
いつもと、変わらない笑顔のはずなのに
どこか違和感を感じた光成。
上履きに履き替えて、皆で教室に向かう途中
光成は、詩織にコソッと聞いた。
『上杉さん、何かあった?』
並んで歩く詩織は、光成の方を
ふっと見た。(相変わらず、鋭いわね!
桜奈に関してだけは・・・)
そのあと、ニコッとし首を振った。
(何かあった?なかった?
あったけど、分からない?)
光成は、詩織の反応に困惑したが
詩織にも話せるほどの情報が
ないと判断した。
(また、少し経ってからきいてみるか)
気にはなったが、試験に集中する
ことにした光成だった。