第9章 〜秘密〜
(あはは、バカだなー私。そうだよ。
彼女いないって、徳永さんは言ってたけど
好きな人がいないとは、一言も言ってないし
聞いてないじゃん。
だいたい、私がこうして、徳永さんに
片想いしてるくせに、徳永さんにはそんな人
いないって何を勝手に思い込んでたんだろう?
自分がそう、思いたかっただけじゃない・・・)
自分の願望で、思い込みをしていた浅はかさに
呆れて、みるみる表情が暗くなっていく桜奈に
気づいた家康。
(やっべー、自分の気持ちでテンパり過ぎてた。
話聞かれてたよな・・・)
桜奈は、家康の声のトーンや話し方で
感付いたのだ。
電話の相手が、どう言う関係かは不明でも
大切にしている人だと言うことに。
でも、確認せずにらいられなかった。
恋愛初心者の自分が、誰か他に好きな人が
いる人を想い続ける自信なんて無かったからだ。
もし、家康に好きな人がいるなら
早く自分の気持ちに整理をつけなければ
そう判断したのだ。今ならまだ、引き返せると。
恋を知らない桜奈にとって日の浅い
今なら、それは可能なはず!そう思いたかった
のだ。
『あ、あの、今の電話の相手って
やっぱり、彼女さんですか?
もう、彼女いないとか言って、しっかり
いるんじゃないですかー、早く言って
下さいよー』と目一杯、茶化すように
自分の動揺を気づかれないように
明るく尋ねた。