第9章 〜秘密〜
詩織と別れ、自宅へ向かう途中
家康が声をかけてきた。
『あのさ、本当に政宗んとこで
バイトすんの?』
『えっ?はー、そのつもりですけど』
(なんでそんなこと聞くんだろ?)と
キョトンとし、家康を見る桜奈。
政宗の女子への距離感の近さを知っている
家康は、店を出てからのもやぁ〜が
晴れずにいた。
そして、無防備にキョトン顔をする桜奈に
詩織が言った、無自覚ハイレベルが重なり
イラッとしてつい
『いや、パンケーキ目的とか言いながら
もしかして、政宗目当てなら、ちゃんと
紹介してやろうかなと思ってさ』と
また、憎まれ口をきく家康。
胸がチクッとする桜奈。
(私が、パンケーキ美味しいって
はしゃいでたから、徳永さんには
そう見えたんだ)と、悲しげな表情に
一瞬なった桜奈だったが
『いやいや、政宗さん、きっとあんな感じ
醸し出してますが、真面目な人ですよね?
ガチで私なんか紹介されても困ると
思いますよ?まして、友達からの紹介じゃ
尚更。それに、本当に私はスイーツの勉強が
したいだけで、彼氏欲しいとか思って
ないんで』
(誤解しないで下さい!徳永さんに誤解
されるのが一番悲しい)と
言い逃げのように俯いた。