第9章 〜秘密〜
表情の曇る桜奈を見て
詩織は、桜奈の気持ちを察した。
(好きなひとに、他の人紹介するなんて
言われたら、そりゃがっかりするよね。
徳永さん、桜奈に対して
まんざらじゃないって思うんだけど
でも、時々凄く棘のある言い方するし。
あの言い方だと、桜奈がどんな
恋愛観念を持ってるか知ってるのか?
将来有望株って言ってたし・・・)
詩織は、もうひと押ししてみることにした。
『桜奈、揶揄ってなんてないわよ!
御曹司と出会うチャンスなんて、そうそう
ないし、私は、マジでいってるんだけど』
と言うと、チラッと家康を見た。
眉間にシワが寄っていく家康。
(やっぱり、不機嫌な顔になるんだよねー)と
詩織は思った。
『政宗さんだって、あんなイケメンさん
だから、彼女さんいるでしょ』と桜奈が
政宗さんと言うと家康の眉は、ピクッとし
イケメンさんのフレーズで不機嫌さは更に
増していくように見えた。
(やだ、徳永さんて、もしかして桜奈と
同じくらい分かりやすい人?)と思うと
詩織は確かめたくなった。
『そうね、イケメン御曹司なら、確かに
彼女はいるかもね!徳永さん、政宗さんって
彼女さんいるんですか?』と家康に話を振る
詩織。
『モテるけど。今のところ彼女は、たぶん
いないんじゃないかな・・』と紹介してやろうか
と言ったくせに、なんとも歯切れの悪い
答えの家康だった。
(イラッとして、思わず口走ったけど
まさか、こんなに食いつかれるとは
思わなかった、めんどくさい)と
家康は思っていた。