第8章 〜恋敵〜
早速、詩織は家康を質問責めにした。
『徳永さんて、医大生なんですよね
桜奈から聞きました。
凄く優秀なんですね。桜奈に
便乗しちゃいましたけど、勉強
教えてもらえるの助かります。
ちなみに、どちらの医大ですか?』
(しぃちゃん、凄いよ、サラッと聞いてるし)
『えっ?あー、一応、慶大だけど』
と、あまり言いたく無さげに答えた。
『凄ーい!慶大なんですか?頭いいんですね』
と、詩織は驚いていた。
『桜奈知ってたの!?』と詩織に言われ
驚いた顔で、フルフルと首を横に振る桜奈。
『ああ、知らないと思うよ。だって聞かれた
ことないし』と家康。
詩織は桜奈に
(なんで、聞かないのよー)と目で訴え
桜奈は桜奈で
(そんな余裕が私にあったと思うー!?)
と、瞳を、うるうるさせながら
あわあわとし、首を横に振った。
『はっー』とため息をつき手の甲を
額にあて、呆れる詩織。
そんな二人のやりとりを見ていた家康は
桜奈の態度が可愛いくて
もうちょっと動揺する姿みたさに
意地悪いことを言ってみたくなった。
『まぁ、俺はただの上杉さんちの
居候だからね。居候に興味なんて
ないんだと思うよ。最初は目すら
合わせてくれなくて、嫌われてるかと
思ったくらいだし』とニヤッとした。
(確かに、不快な思いはさせてしまった
よね。恥ずかしくて何も聞けないだけど
そんなふうに思われてるのか・・・)
あからさまにシュンと落ち込む桜奈。
それをみて、またニヤッっとする家康。
そして、詩織は
(・・っ!こいつ・・・わざと!!)と
家康の天邪鬼を見抜いた。