第8章 〜恋敵〜
『そんなことないわよねー桜奈。
カッコいい人が、家庭教師だって
喜んで私に教えてくれたんですよー』と
愛想笑しながら、桜奈をフォローする
詩織。
桜奈は、今度は詩織の言葉に驚き
金魚のように口をパクパクさせ
真っ赤になりながら、声にならない
心の声で叫んでいた。
(///しぃちゃん、なんで、カッコいいって
言ってたってバラすの!?
私が、徳永さんのこと好きだってバレたら
どーすんのよー///)
『へぇー、そんなふうに言ってもらえてたんだ』
と、桜奈を見て、ふっと笑う家康。
(ダメだ、完全に桜奈の百面相みて
楽しんでるよ、この人!!)と詩織は思った。
それと同時に、詩織は家康の態度が桜奈に
脈ありなのか、それともただ揶揄って
遊んでるだけなのか判断をしかねていた。
ならばと、詩織は反撃に出た。
もはや、あわあわ状態でテンパっている桜奈
を置き去りに戦闘モードに入った詩織。
ニコニコしながら
『徳永さんて、桜奈が言ってたみたいに
イケメンですよねー。それで、医大生なんて
すーっごいモテるんじゃないですか?
彼女さんも大変ですよねー!あっ、当然
彼女さんいますよね?』と詩織。
『はっ?別に彼女なんていないけど』と
何が言いたいわけ?と怪訝な顔だけする
家康。