第8章 〜恋敵〜
その後、すぐに詩織から折り返しの
連絡が来て、朝から勉強会となった。
桜奈は、家康に確認を取るため
家康の部屋を訪れた。
ーコンコンー
ドアをノックすると『はい』と返事が
帰ってきた。
(良かったー、今日は、気づいてくれた)
『桜奈です、明日の事で話があって』
と言い終わる前に、ガチャっとドアが開いた。
お風呂上がりで、部屋に戻ったばかりだった
のか、近づいてきた家康からは、熱気と
ふわッと石鹸の香りがした。
柔らかそうな猫っ毛をタオルで拭いて
いたが、濡れた前髪がしんなりと目に
かかって、桜奈には、妙に
色っぽく見えてしまった。
(///ドキン、ドキン///)勝手に心臓が
バクバクし始め、家康を直視できなく
なっていた。
家康からは、俯きモジモジしているように
見える桜奈が不思議だった。
(何モジモジしてんだろ?
明日の話って、何か言い辛いこと?)
『で、明日、何?』
ハッとした桜奈は、慌てて
『明日、10時に図書館集合なんですけど
そんな、早くからでも大丈夫ですか?』
『凄い、やる気じゃん。俺は、大丈夫だよ』
と家康。
『そうですか!じゃ、明日、宜しく
お願いします』と、ペコッとお辞儀すると
『分かった』と家康がいい終わる前に
ピューッと逃げるように部屋に
入っていった。
(どうしたんだ?)と首を傾げる家康。
部屋に入り、ベッドに倒れこむと
ドキドキする自分の心臓の音が
余計に、大きく脈打つよう感じ
ぎゅーと目を瞑った。
(///はー、びっくりした。ドキドキしすぎて
徳永さんに心臓の音聞こえるんじゃないかと
思ったよ。)
『///はっ〜、かっこよかったな・・・///』
家康に対する恋心を桜奈は
もう、否定などできなくなっていたのだ。