第7章 〜進展〜
少し落ち込んでる桜奈を励ます
ように千里は話を続けた。
『確かに出会った頃の新鮮な気持ちを
抱き続けるのは難しいかも知れない。
人は変わって行くのが自然なことだから。
でもね、変わって行く事が悪いことばかり
でもないわよ。出会った頃以上に相手を
もっと好きになって行く変わり方だって
あるもの。色んな事を二人で乗り越えて
行く中で絆がより深まることも、変わって
行くってことでしょ?
想いを伝え合って、お互いを理解しようと
する努力、相手を思いやったり、労ったり
自分にとって相手が心地いいだけじゃなく
相手にとっても自分が心地いい存在で
いる努力は大切だと思うわよ。
後は、好きな人の側で過ごせる事への
感謝かな。一生一緒にって言っても
どんなに好きでも、結婚式の誓いの言葉じゃ
ないけど『死が二人をわかつ』のは
避けられことだもの。一緒に居られるのは
限られた時間だって忘れちゃダメなんだ
と思う。だから後悔をしない『好き』の
在り方を自分でみつけないとね!』
そういって優しく微笑む千里。
真剣に話を聞く家康と桜奈。
そんな二人の視線にハッとし
『あら、やだ。もう、ごめんね、家康君。
おばちゃんが、人生について語っちゃたわよー
やよねー、お説教くさくて。
これだから、歳はとりたくないわ』と
気恥ずかしさを隠すように、悪戯っぽく
千里は笑った。