第7章 〜進展〜
少し、重い空気が漂い始めた事を
察した千里は静かに語りだした。
『そうよね。結婚がゴールじゃないからね。
結婚して、お互いの色んな事が見えて
思ってたのと違うって、別れちゃう人達も
いるし、相手の幸せばかりを考えるあまり
想い合ってるのに別れちゃう人達もいる
だろうし。
愛し合って結婚したはずなのに、いつの間か
片想いに戻ってしまう人達もね。
どちらか一方ではなく、二人で同じくらい
幸せでいるのは、想い合ってるから簡単って
思いがちだけど、実は、一番難易度の高い
幸せの形かもよ。』とクスッとする千里。
『えっ!そうなの!!』と驚く桜奈。
『そうよ、桜奈の理想は
出会った頃のままの『好き』って気持ちを
自分だけじゃなく、相手にも変わらずに
持ち続けてもらわなきゃ成立しない
幸せの形だもの。夢を壊すわけじゃないけど
環境や状況や人間関係が変わって行く
中で、変わらない想いを抱き続けるって
簡単なことではないのよ?』
『確かに、そうですよね。変わらない
つもりで、少しずつ変わって行きます
よね気持ちって。』と家康。
『そっか、そうだよね』と桜奈は
家康と出会う前の自分と、今の自分が
既に変化して行ってることが千里が
言ったように変わって行くことを証明して
いるように思えた。
(変わらない気持ちを持つって
大変なんだ・・・)と少し寂しい
気持ちになった。