第6章 〜片想い〜
光成は、休み時間に詩織にそっと
声をかけてみた。
『昨日、一昨日と、上杉さんの様子が
おかしいけど、何かあったの?』と光成。
『おっ!流石、一途に片想い中ですな。
詳しくは、言えないけど、岩田君にとっては
ライバル登場ってとこだね。』と詩織。
『えっ、ほんとに!それはまずいな』
と、顎に手当て、険しい顔をする光成。
『どんな人?』と詩織に言いかけたが
詩織の表情から
『それは教えてもらえないみたいだね』
とにっこりする光成。
『まあね、桜奈から話ていいって
言われてないから。私としては
どっちでもいいんだ。岩田君でもライバル君でも
桜奈が好きになって、それ以上に
桜奈を想ってくれる相手ならさ。
まっ、頑張ってよ』と光成の肩をポンッと
叩く詩織。
『ああ、僕なりにね!』とキラースマイルを
詩織に向けた。
(ほんと、綺麗な微笑み浮かべちゃって
桜奈も勿体ないわよね!
こんな真面目なイケメンに見向きもしないなんて
桜奈的に言うなら、こんな優良物件も
ないのにね。これだから、恋って厄介よ。)
詩織は、内心でそう思った。