第6章 〜片想い〜
『あっ、いえ、そうではないんです。
すみません、せっかく集中して
読んでたのに、中断させてしまって。
僕は、1年C組の岩田光成と言います。
お名前を伺ってもいいですか?』
『えっ?はい。私は1年A組の上杉桜奈
と言います。同級生ですね。岩田君
落ち着いてみえるから、先輩かと
思っちゃいました』とまたニコっとした。
『すみません、急に声かけて。僕、本が
好きで、よく図書室にくるんですけど
上杉さんを見かけたの初めてだったから。
凄く楽しそうに本を読んでたから
何の本か興味が湧いて、思わず声を
かけてしまいました。
上杉さんも本好きなんですか?』
『私も本は好きですよ。図書室には
たまにきてますけど、私も岩田君を
見かけたのは初めてかも』と桜奈。
『じゃ、本好き同士って事で、おススメの
本があったらぜひ教えて下さい。僕もおススメ
の本を紹介しますから、今後情報交換
させてもらっていいですか?』と
ふわっと柔らかな天使のような微笑みを
桜奈に投げかけた。
(うわぁ、男の子なのに、美しいって
言葉がぴったりな微笑み!イケメンさんだ
しぃちゃんに教えてあげなきゃ!)
少し驚いた表情の桜奈にハッとし
た光成。
『あっ、もちろん迷惑でなければですけど』
と少し焦ったように付け加えた。
桜奈は、穏やかに微笑み
『はい、じゃ、情報交換宜しく
お願いします!』と光成に答えた。
(こんな可愛い人初めてだ。
彼女こともっとも知りたい・・
もっとお近づきになりたい・・・
なんだろう、この感じ?)
光成はそう思いながら、桜奈の笑顔に
見惚れたのだった。