第6章 〜片想い〜
歩きながら、桜奈は昨夜からの
出来事の一部始終、詩織に話した。
『そっか、同じ気持ちで、あの時
お互いに見つめあってたんだー
ある意味凄いよね!私でも間違いなく
運命だって思うよー』と詩織は驚いていた。
『でも、そう思って、バカみたいに
舞い上がってたのは、自分だけだったし』と
しょげる桜奈。
すると詩織は、『ふふふ』と急に
笑い出した。
『しぃちゃん、酷いよ。私こんなに
凹んでるのにー』とムッとする桜奈。
『だってー、そんなに落ち込むって
それって、徳永さんが好きですって
言ってるようなもんじゃない。あんなに
恋じゃないって否定してたのに』とまた
クスクス笑いながら
『もう、徳永さんの言動にめっちゃ
振り回されて、テンション上がり下がりが
激しい時点でさ、好きだからって話でしょ?』
と言う詩織に
『はーっ、やっぱりそうなんだ。
好きがよく分からなくて、戸惑う気持ち
もあったけど、今朝、避けられた気がして
嫌われたかもって思ったら、凄いショックで
泣きそうだった』と更に落ち込む桜奈。
『そっか、ついに観念と言うか
恋の自覚に至りましたか。ようこそ
片想いの世界へ』と、手を広げる詩織。
『もう、しぃちゃん、揶揄わないでー
結構、本気でダメージ受けてるんだよ
これでも』とため息をついた。