第6章 〜片想い〜
顔洗い、学校に行く準備をして
下に降りると、家康は既に朝食を
取っていた。
『桜奈も早く、ご飯食べちゃいなさい』
そう千里に促され、家康と向かい合わせに
座り、朝ごはんを食べ始めた。
二人とも目を合わせることも
言葉を交わす事もなかった。
朝食を済ませて、桜奈はいつも通り
学校へと出かけて行った。
ピンポーンと詩織の家のインターホンを
押すとガチャっとドアが開き、詩織が
出てきたが、桜奈を見た瞬間
『げっ、どうしたの桜奈?
昨日より、更に老け込んでるって言うか
負のオーラ全開なんですけど?』
『しぃちゃーん!!』と、桜奈が
今にも泣きそうな顔で、詩織に抱きついた。
『ど、どうしたのよ桜奈?』
と慌てる詩織。
『もう、やだ。こんな自分!!
疲れたー、こんな気持ち、要らない!』
と、涙目になって訴えた。
『何?また何かあったの?』
いつも、ニコニコしている桜奈の
こんなに辛そうな顔を見るのは
初めてと言ってもいい程だった詩織は
動揺した。
『とりあえず、学校行こ!ね?遅刻
するから、話聞くから』と、自分から
桜奈を引き離し、歩き始めた。