第6章 〜片想い〜
一方、部屋に入り、またベッドに
倒れ込んだ桜奈は、自分の
気持ちを持て余していた。
(様子が変って?気持ちが外に出てたの?
気持ちを悟られないように、笑って誤魔化し
てたのに。気づかれたかな・・・
きっと感じ悪いって思われたかも・・・
ああ、でも、もういいや。
もう、気にするの疲れたよ・・・
明日からは普通にしなきゃ・・普通に)
昨日の寝不足も手伝って、虚しい気持ちを
抱えながらも桜奈は、すぐに
眠りへと落ちて行った。
ピピピッピピピッピピピッ バンッ
目覚ましを止めた桜奈。
ゆっくり寝れたはずだったが
気持ちの重さは、あまり変わって
いなかった。
(今日から、普通に、普通に・・・)
呪文のように、自分に唱えながら
顔を洗いに洗面所に向かった。
下に降りると、洗面所から家康が出てきた。
『おはようございます』ニコッと桜奈から
挨拶した。
家康も一瞬、桜奈を見たが
すぐに目線を逸らし俯き加減で
『おはよう』と言っただけで
スッと桜奈の横を通り過ぎ
二階へと上がって行った。
『えっ?』(ズキッ)
返された挨拶とは裏腹に、避けられと感じた
桜奈。
胸がチクリと痛んだ。
(あはは・・そうだよね。散々、感じ悪い
態度とってたんだから、嫌われても仕方
ないか・・・)ギュッと唇を噛み締め
洗面所へと向かった。