第1章 天女達の街
「ちょっと!そこの!」
「へい」
女将さんは近くの下働きの男性を呼び止めた。
「喜瀬川を呼んできておくれ。」
(きせがわ??人の名前なのかな)
女将さんと話をしていると、せげんさんはお金を貰って帰って行った。美幸は大金を前に、何故あんなに貰えたのだろうかと不思議に思っていた。
その頃、襖が開いた。
奥の部屋から、この世のものとは思えぬ程の美しい人が入ってきた。赤く豪華な着物を着、金地に白の刺繍が施された前帯を締めている。その女からは、なんとも言えぬ妖艶な雰囲気が漂っていた。
「あぁ、喜瀬川。来たのかい。」