第3章 厳しい稽古
また長い長い廊下を戸惑いながらも歩き、自分の髪を結ってくれた髪結いを呼びに行った。
「あの。喜瀬川姐さんが髪を結ってくれと呼んでいるでありんす。」
「あらまぁ!花魁の頼みならば早く行かなければね。部屋に案内してくれる?私、稲光楼へ来たのは今日が初めてなの。」
「わかりんした。広いので少し歩きんす。」
この長い廊下を歩くのも3度目だ。道はすっかり覚えることができた。迷うことなく髪結いを喜瀬川の部屋へ連れていき、部屋へ入ると、髪結いはひどく緊張したような表情になった。妖艶で美しい喜瀬川の雰囲気にのまれたのだろうか。
喜瀬川の髪が結われている間、しゆきが大人しく待っていると喜瀬川が口を開いた。
「…しゆき、今日から稽古じゃないのかえ?」
「けい、こ…??………あっ!!!!!!」
そういえば女将さんから踊りの稽古をするから部屋に来いと言われていた。それに、遅れるな、とも言われていた…
「遅刻は相当怒られるでありんすよ。早ういきんさい。」
「は、はい!失礼しm…しんす」
そう言ってしゆきは慌てて駆け出した。