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稲光楼ノ花

第2章 新しい姉妹達


「…そうです。」
赤くなった目に暗い表情でしゆきは答えた。

「わっちは喜瀬川姐さん付きの新造、八重でありんすぇ! つまりはしゆきの姉。なんでも頼ってくんなんし。今日からわっちらは姉妹でありんす!」

無表情のしゆきに、優しく笑顔で話しかけてくれる八重。家族と離れたことを悲しんでいたしゆきは、無表情に無言のままだったが、凄く嬉しく思っていた。

「しゆきはなんでここに来んしたの?」

「…わか、わかりません。」
そう答えるとしゆきの目からは涙がこぼれ落ちた。

「わぁぁ!ごめんなんし!そっかぁ!わかりんせんのか!」


八重は慌てて謝った。こちらから聞かない限り喋らないしゆき。女将さんは受け答えがはっきりしていると言っていたが…よっぽど落ち込んでいるのだなと八重は思った。

(落ち込んでいたって、ここでは励ましてくれる人も少ない。このままではこの子は上手くいかないだろう。妹になったのだ。励ましてあげたいなぁ)

「……しゆき!あんたの姉妹となる人達に会いに行きんしょう!」
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