第1章 第5棟
少しだけ早足、そう思ったけど、、、
10分くらいそんな状態で歩いていたら、ハア、ハアと、息があがってきて彼との距離がどんどんあいていく。。
これじゃ、見失うかも!と思って
「は、はるひこくんっ!!」
と、彼を呼び止めた。
「ーー!!は、はい!!」
春彦くんは背筋を伸ばしてくるりと後ろをみて、ちょっとキョドキョドとしていた。そして、ハッとした顔をして駆け寄ってきてくれた。
「ごめんっ、ちょっとだけ、ゆっくり歩いてほしい、、」
私が息絶えだえにいうと、春彦くんは眉を下げてしゅんとしながら
「ご、ごめっん!!」
と、頭を下げて謝ってくれて
「あ、ちがうの!ほんとに私の体力不足!!春彦くん、足速いね。私全然追いつけなかった!」
と、慌てて私も謝った。
「つ、つい、いつものペースで、、気をつけるね。。
ぁ、あと、その、は、ハルでいいよ。みんな、ぼ、ボクのことハルってよぶから」
彼は少し俯きながら息継ぎをしてるのかわからないくらいの早口でそう言った。
みんなハルって、呼ぶから私もそう呼んでよいらしい。
なんだか、気持ちがぽやっと温かくなった。
「...じゃあ、ハルくんってよぶね!」
「う、うん、あ、ちゃんって呼んでも..いい?」
ハルくんが初めてちゃんと私の顔をみて、そう言ってくれて嬉しくなって声が弾んだ。
「!うん!もちろん!」
ハルくんはふふっと笑って私の隣に歩幅を合わせてくれるように歩いてくれた。
昨日より仲良くなれてる気がして嬉しくなった。
ハルくんが八塩にきて初めてのお友達。