第19章 可愛い恋煩い
緑間っちが元々花子っちを好きなのは明らかで、正直花子っちが悩んでいる理由がよく分からない。
そもそも普通に考えて、消毒なんてパワーワード好きな相手じゃなきゃ言わないでしょう。いや、むしろ今どき好きな子を相手でもなかなか言わねぇっスよ、なんて思ってみたものの、やはりそんなことを彼女に言える訳もなく。
不安そうにする花子っちに声をかけたのは意外にもバスケバカだった。
「何が不安なんだよ、オメェは」
『えっと、・・・私じゃなくて、』
「あ?オマエと緑間の話だろ?」
『・・・・・っ!!』
やばい、そう思った頃には時すでに遅し。こいつはデリカシーも女心も分かっていないただのバスケバカだ。火神っちの発言により顔を真っ赤にして俯く花子っち。
「なーにやってんスか、火神っち!」
「本当、デリカシーなさすぎです」
オレと黒子っちに責められたバスケバカはシュンと縮こまるが、とはいえ火神っちの質問は的を得ていた。
「山田さんは何がそんなに不安なんですか?」
『・・・・・ら、』
「えっ?」
未だに俯いたままボソボソと話す花子っちに再び問う。
『だって、好きって言われてないからっ』
全く、可愛い恋煩いだこと。
そう思ったのはきっとオレだけじゃないはずだ。
その後オレたちは答えのない恋愛論を少し語り花子っちを家まで送り届けて解散した。