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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第49章 もう終わりにしましょう







『ねぇ赤司、どこに行くの?』


「言ったら真太郎に連絡するだろう?」


『そ、それは、そうだけど・・・、』


「まぁ言わなくともアイツは花子を探しに来るんだろうね。」




手首を赤司に引かれながら、足早にどこかへと向かう。随分コートからは離れた気がするが、余程白熱している試合なのか観客の歓声はまだ聞こえていた。試合はきっと後半戦になっているだろう。


チラつかせていたカッターは、言わずもがなあの日の出来事が嫌でも脳裏を過ぎる。逃げないことを条件にしまって欲しいと伝えれば、意外にも赤司はあっさりすぎるくらいにすんなりと、そのカッターを制服のポケットに戻した。




「ここまで来れば2人で話せるかな。」


『ここ、控え室?』


「あぁ。1番奥の通路の控え室は使われていないらしい。こんな奥まで来たら花子が例え大きな声を出しても、きっと誰も気付かない。」


『な、なかなか物騒なこと言うね、』




光のない瞳が私を捉えるから思わず声が上擦ってしまったが、昨晩腹は括ったじゃないかと自分を奮い立たせる。




『で、話って?』


「そう慌てるな。」


『でも試合が終わってからまだ控え室に戻ってないの。きっと何も言わないで来ちゃったから真ちゃんか高尾が探し始めちゃうよ?』


「やっぱり“僕”が怖いのか。」


『怖くなんかないよ、』



今言える精一杯の強がりだった。
しかし赤司は、まるで私の心の奥底までも見抜いているかのように嘲笑い、部屋の中央にあるベンチに腰をおろした。その隣を2回左手で叩いた意味を理解した私は、言われるがままに赤司の隣に腰をかけた。




「秀徳は負けた。」


『そうだね。』


「約束は約束だ。花子は洛山に来い。」


『・・・。』


「そして、“僕”の彼女になれ。」


『え?聞いてないよ、そんなの。』



そうだ、そんな賭けはしていない。
確かに試合に負けたら洛山へ行くという話は真ちゃんから聞かされていた。が、付き合うなんて寝耳に水もいいところだ。



「“僕”からすれば、洛山に来いと“僕”の彼女になれというのはそう差異のない話だ。真太郎にも言ったさ。花子、オマエが欲しいと。」



あまりにも赤司の横暴すぎる発言に、私は上手く言葉を紡ぐことが出来なかった。

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