第12章 初めての恋
『あ、起きた?』
ぐったりしていた花子を背負って部屋まで送り届けて、いつの間にかオレも寝てしまっていたようだ。外はすっかり真っ暗になっていた。
花子はベットの上で座りながら英語の参考書を読んでいた。
「熱は大丈夫そうか?」
『あ、う、うん。だ、だ、大丈夫・・・かな』
なんて目を泳がせながら答える花子。
一体何をそんなにテンパっているのか。
思い当たる節なんて・・・あった。
もしかしてあのキス、バレているのだろうか。だとしたらまずい。かなりまずい。
これは謝るのが正解なのか、それともとぼけるべきか?
はたまたもう一度告白を・・・いや、この状況で告白は厳しい。
じゃあ一体どうすれば良いのだろうか、オレのキャパはとうに超えていた。というより昨日からオレはどうかしているのかもしれない。
花子のお父さんはオレたちが小学校に上がる前に事故で亡くなり、お母さんしかいない。花子のお母さんは朝早くから夜遅くまで仕事で、家にいる時間のが少なかった。
兄弟もいない花子はよくオレの家で一緒にご飯を食べたり、宿題をしたり、たまにお風呂に一緒に入ったりもした。
そうオレたちは本当の兄妹のように過ごしてきた。
だから花子と付き合えないくらいなら、この幼なじみという関係を終わらせたくない。ずっとそう思っていたはずなのに、今のオレはどうかしている。
花子を自分のものにしたいなんて。