第12章 初めての恋
ひとまず花子の様子でも、と視線をずらすと、目をあからさまに逸らされた。
・・・・・バレている。とは言え、やはり謝る勇気は持ち合わせていない。
もう一度花子を見ると、読んでいる英語の参考書が逆さまになっていることに気付く。
「ふっ、」
それが少し可笑しくて、そういうところが可愛くて、あぁやっぱりオレは花子が好きだ。そう思ったら一気に気が緩み、笑ってしまった。
『な、なに?』
笑われたのが嫌だったのか、ちょっとムっとした顔もいじらしくて可愛いと思ってしまう。
「何でもないのだよ。」
立ち上がると花子は少し寂しそうな表情でオレを見る。
『帰るの?』
「あぁ。」
風邪をひくとやはり心細くなるものなのだろうか。
例え理由が何であろうと、オレを求めているみたいで嬉しくなった。
花子の頭にポンっと、手を乗せると花子は肩をすくめたが、伏し目がちにありがとうと小さく呟いた。
「何かあったら連絡しろ、すぐ来る」
そう言い花子が小さく頷いたのを確認してから、自宅へと戻った。
とても勉強する気分にはなれず、一旦ベットに潜り込む。
もう寝てしまおう、そう思ったが昼間花子が寝ていたせいでその布団からプンプンと女の匂いがした。
余計に眠れず、余計に熱帯びたソレにそっと右手をそえた。
(「・・・・・はあーっ。」)