第48章 カッコわりぃとこ見せてんじゃねぇぞ
「僅差であればこんな無様な姿をさらすことはなかったはずだ。ならばいっそ、差などなくなってしまったほうがマシだ。」
赤司がした自殺点はオレたちには到底理解できないものだった。隣に立つ真ちゃんでさえ、びっくりしたような目でその様子に唾を飲んでいた。
「おい、こういうことは昔もあったのか?」
「いや、初めてだ。信じられないのだよ。」
先輩であろう4人にとんでも理論で檄を飛ばす赤司に、ゲームは一時止まる。ベンチに座る山田に視線をずらすと、不安そうに眉間に皺を寄せて赤司を見つめていた。
「だが。もし負けたら好きなだけ“僕”を非難しろ。敗因は今のゴールだ。」
「「「「・・・。」」」」
「全責任を負って速やかに退部する。そして罪を償う証として・・・、両の目をくり抜いてオマエたちに差し出そう。」
「「「「なっ!!!!!」」」」
・・・ウソだろ?
高校生の部活のスポーツだぜ?マジで目なんかくり抜くわけねぇだろ・・・なのに、なのになんなんだよ、他のヤツらのリアクションは・・・。
「冗談・・・だよな?」
「・・・っ、」
何も答えない真ちゃんに加え、ベンチにいる山田の怯えたような表情(かお)から赤司ならやりかねないと、その発言がどんどんと現実味を帯びた。
そうしてゲームが再開される。
これまで秀徳(こっち)のペースだったはずなのに、良くも悪くも一段と気の引き締まった洛山(あっち)のペースに飲まれるまでは、あっという間だった。
「残念だな、この試合はもう終わりだ。」
「は?ふざけるな。」
「・・・っ、」
キセキの世代の2人が話す言葉に耳だけを傾ける。2人してどんな心臓してんだよ、と思わず言いたくなるくらいには恐ろしい会話が続けられる。
「宣言しよう。オマエはもうボールに触れることすらできない。」
「なんだと・・・?」
「っ!!」
「不可能なのだよ、赤司。例えオマエのエンペラーアイでもオレたちのシュートは止められない。」
「確かにバスケットにおいて高さは重要なファクターだ。一見絶対止められない。だが教えてやろう。」
「・・・っ、」
「絶対は“僕”だ。」
そう言い放つ赤司の顔は殺気だっていて、バスケをしているはずなのに身の毛がよだった。