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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第48章 カッコわりぃとこ見せてんじゃねぇぞ







「・・・っ。」


「ほら、真ちゃん。」



先程赤司が放ったシュートの行方は言わずもがな。4Q残り5分59秒で、51-71。実に20点もの差ができてしまった。そして、ドライブで交わされたオレは悔しくて立てなかった。


高尾の声も今まで聞いたことがないくらいに優しかった。


・・・あぁ、立たねば。
そう思うのに身体は言うことを聞かない。クソっ!クッソっ!!


その時だった、後頭部に優しい痛みが走った。



「いつまで座ってんだ、バカ。メガネ割んぞ!」


「えっ」


「山田がどうのとか赤司と話してんの聞こえてんだわ。」


「・・・っ。」


「どんな状況か知らねぇけどよ・・・、オマエ彼女の前でカッコわりぃとこ見せてんじゃねぇぞ。」


「おいっ!あの文字が見えねぇのか?シャキッとしろや!」



宮地さんに頭を引っぱたかれたと思ったら次に声をかけてきたのは木村さんで。あの文字と言って指さす先には、不撓不屈の秀徳の段幕。そちらに視線をずらせば、ベンチに入れなかった部員たちも必死に応援をしていた。もちろん、その中に3年生だっている。



「緑間、高尾!まだ時間はある。最後まで諦めるな。まずは1本だ。勝ちに行くぞ。」



そう言う大坪さんのもまた、試合を諦めてなどいなかった。



「なぁ真ちゃん、宮地さんってホント怖かったよな。海合宿のときなんかオレらだけじゃなくて山田にもちゃんとペナルティ与えてたしさ。」


「・・・そうだな。」


「大坪さんも真面目で、厳しい人だったし。ただでさえキツイ練習に一切手抜きなし。山合宿のときは死ぬかと思ったし、実際何度も吐いてさぁ・・・あぁでも木村さんの差し入れのスイカはまじで美味かったよなあ。」


「・・・そうだな。」


「思い返せば返すほどホントつくづくあの人たちとバスケやっててぇな。」



「・・・そうだな。こんなところで座ってる場合じゃなかったな。」




高尾に再び差し出されたその手を借りて、立ち上がる。こうなることくらい予想していたじゃないか。そう自分に言い聞かせ消えてしまいそうだった小さな闘志に再び火を灯らす。



「行くぞ、高尾。」


「おうよ。」


「とっておきを見せてやる!」



高尾と花子しか知らないアレを出すのはもうここしか無かった。

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