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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第48章 カッコわりぃとこ見せてんじゃねぇぞ







「まさか、オマエの眼を使わずに勝とうなどと思っていないだろうな?」


「まさか。切り札をそう簡単に切るわけにはいかないさ。」




ただ切らずに終わってしまうかもしれないな、このままでは。赤司がそう言って真ちゃんを煽っていたのは、視界を遮られてもベンチにいる私にも聞こえていた。


2Qが始まる合図と共に、真ちゃんへのディフェンスがダブルチームへと変わった。その様にあからさまに苛立ったのは宮地さんで、きっと軽トラで轢くとか、埋めるぞとか思ってるんだろうなと簡単に想像できた。



「さっきの言葉。分かりにくければ言い直そう。“僕”が直接手を下すまでもない。それだけのことだよ。」


「なっ!ふざけるのも大概に、」


「オマエ以外足手まといじゃないか。」



赤司の煽りは止まらなかったが、ソレが起爆剤となったのか真ちゃんの顔つきは更に怖いものに変わった。


・・・大丈夫。勝てる。
くちびるを噛みしめ、スカートのポケットに入っている今日のラッキーアイテムの駒を握りしめる。


その時だった。
高尾のボールが赤司にカットされ、速攻で7番にボールが渡りシュートホームに入ると、そのボールを今度は真ちゃんが止めて、ボールは再び高尾の手に戻ってきた。



「足手まとい?何を言ってるのだよ!」



高尾からボールをもらった真ちゃんがドライブで切り込み、1人でシュートまで決めるのだろうと試合を見ているみんながそう思った。しかし実際は、フェイクを入れて、それに合わせるようにインしきてきた宮地さんにボールを委ね、そのボールは勢いよくゴールへと入っていった。



「緑間、変わったな。自分で行くかと思ったが、ちゃんと周りを見ている。自分の役割りを瞬時に判断しているね。」


隣に座る監督の嬉しそうな声に、思わず口角が上がる。




「このチームで足手まといなどオレは知らない。」


「ナイスパス、緑間っ!」



コート内で真ちゃんの肩をポンと優しく宮地さんが叩いた瞬間、私と同じく真ちゃんの口角が上がったのも私は見逃さなかった。


あぁ、秀徳に来て、真ちゃんは真ちゃんのバスケができている。チームのみんなとも上手くやれている、その事実が私は嬉しかったし、初めの頃の唯我独尊だった真ちゃんはもう居ない。そう確信できた。

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