第47章 関係あるよっ！！大有りだよっ！！！

「っんだよ、今度は“元”カレかよ。」


「オレは別れたつもりなどないのだよ。」


『･･･っ、』


「あーあ、めんどくせぇなぁ。」



灰崎はそう言うと掴んでいた私の腕を、いとも簡単に手放す。当の私はと言えば、きっと怒っているであろう真ちゃんの顔は直視出来ず、それに加え隣で腕を掴まれたままの高尾の顔も今は見れない。


私はただただ自分の足元に視線を落とすのがやっとで。今はそれどころじゃないけれど、それよりもなによりも高尾の好きが自分に向いていることに、今の今まで気付かなかったことに心底がっかりしていた。


“鈍感お姫様”
いつかの松野先輩の負の言葉が、頭の中で何度もリフレインする。




「さっきも言ったけどよ、端から理由なんてもんはねぇんだよ。復讐でもねぇし、ぜぇ〜んぶ、ただの暇つぶしなんだよ。」


『･･･っ、』


「オレの気持ちには応えられない？笑わせんじゃねぇよ。オレはオマエみたいなちんちくりんに興味なんてねぇの。」



自惚れんのも程々にしとけよ、と最後に付け足した。このオトコ灰崎はとてもぶっ飛んでいる。言っていることは理解できないが、それだけは確かだ。きっと真ちゃんと高尾も私と同じ気持ちに違いない。それ故に上手く声を発せられないのだ。


そんな中イカれたオトコだけが、堰を切ったように話を続ける。



「オンナなんて、カワイけりゃ誰でも良かったんだよ。体育館倉庫でのことも、今回もたまたまヤれそうなオンナがそこにいた。オマエだよ、山田。ただそれだけのことだ。」


『･･･っふざ』



ふざけんな、そう言おうとしたときだった。私の腕を掴んで隣にいた高尾が離れ、怖い顔をしながら灰崎の胸ぐらを勢いよく掴んでいた。



「てめぇっ！！ふざけてんじゃねぇぞ？」


「よせ、高尾。」


「高尾くん？だっけ、明日も試合あるのにオレのこと殴れんの？」


「高尾やめるのだよっ！」



聞いたことない高尾の低くて大きな声に、プルプルと震える両腕。本気で怒っているということがよく分かって、何故かそれが少し照れくさくって、それでいてすごく嬉しかった。



「悪ぃ、真ちゃん。オレ真ちゃんに殴るなって言ったけど、無理そう。」


「辞めるのだよ、高尾！」


「やれるもんならやってみろよ？」