第47章 関係あるよっ!!大有りだよっ!!!
『でも約束して。』
「あ?」
『これっきりだから。もう私たちの・・・私の前に二度と現れないで欲しい。バスケも辞めて。みんなの邪魔もしないで。』
なるほどね、そう呟き考えたような素振りを見せる灰崎だが、このオトコが“はい、分かりました”と素直に山田の要求を飲むのんて到底思えない。
「まぁ、オマエが楽しませてくれるってんなら、考えてやってもいいぜぇ?」
そう言うと灰崎は、オレが掴んでいる反対側の山田の腕を強めに握り引っ張る。もちろんオレだって放すつもりも毛頭ない。
「っ、行かせるわけねぇだろ?」
『・・・高尾、・・・離して?』
「んでだよっ!!」
「緑間のお友達くんよー、山田がオレに抱かれたいんだって。」
「・・・っ、」
「諦めて帰んな。」
灰崎の煽ったような物言いにもちろん腹は立つし、何を思って抱かれようとしてんのか全く理解はできないが、なんだかんだで山田の白くて細い腕は小刻みに震えていて・・・。
「なぁ、真ちゃんはいいのかよ?」
『もう別れた、』
「怖いんじゃねぇの?」
『全然、』
「じゃあ、なんで震えてんだよ?」
『っ!高尾には、関係な』
オレには関係ない。そう言おうとしているところで、オレの感情も高ぶり、山田が言い終わる前に思わず大きな声をあげてしまった。
「関係あるよっ!!大有りだよっ!!!」
『・・・っ、』
「好きなオンナが、そんな軽々しく他のオトコに抱かれんのなんて許したくねぇし、」
『えっ、』
「それより何より・・・・・オマエの隣は真ちゃん以外ありえねぇだろ?」
『・・・っ、』
「へぇ〜。やっぱりオマエもねぇ〜。」
・・・やべぇ、告(い)ってしまった。
そう思ったときには、もうどうしようもなく、伝えるはずのなかったこの気持ちは、とても不本意な形で本人に伝わってしまった。
大きな瞳を更に丸くさせて、ポカンと口を開けた山田と視線がぶつかるが、ほんの少し・・・いやだいぶ気まずくて、目を逸らした。その時だった。
「花子っ!」
振り向かなくても誰だか分かる聞きなれた声。来るのが遅せぇよ、と言いそうになった言葉たちは、仕方なく飲み込んだ。