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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第46章 やらなくちゃいけないことがあるから





「“これからも”の次はなんだ?」


『・・・っ、』



冷たく見下ろされるその目を逸らすことは許されず、自分の心臓がバクバクと大きな音を立てるから、このまま肋骨までも突き破ってしまうんじゃないかとバカみたいなことを考えた。


何も言わない、いや、正確には言えなくなってしまったの方が正しいだろう、そんな私に赤司は鼻で笑う。“その後の言葉は大体想像がつく”と。



「何をその頭で考えたのか、僕には全く以て理解出来ないよ。わざわざ一人で敵陣に押しかけるなんて、自分から喰われに来るようなもんだ。」


『・・・・・。』



「何か言ったらどうだ?それとも怖くて声もでないか?」



赤司にソファーに押し倒されたまんま馬乗りされ怖くないことはないが、ずっと黙っていたのにはそれとは別に理由があった。



『・・・ごめんね。』


「今度は何対しての“ごめん”だ?」



もう一人の赤司を深い眠りから呼び起こし、こんな風に変えてしまったのが自分の所為だと思うと何も言えなくなってしまったのだ。


ゆるゆると右手を伸ばし赤司の頬に、その手を這わす。その頬はひんやりと冷たくて、やっと温まった掌の体温がみるみるうちに奪われてしまった。



『全部ごめんね。』


「だから」


『いつも隣にいていっぱい助けてくれたのに、私のためにって何でもしてくれて、それなのに全然赤司の気持ちに気付けなくって・・・っ、本当にごめん。』



言いたいことはもっともっとたくさんあった。
松野先輩のことも、宮古さんのことも、灰崎のことも。いつだって赤司に助けられてきた。それなのに何も気付けなかったことを詫びたかった。


しかし言葉としてそれがなかなか出てこない。それどころか“ごめんね・・・ごめん・・”と馬鹿の一つ覚えのように謝罪ばかりが口から零れる。


ほんの少しだけ。
赤司の瞳の奥が揺れた気がした。それを揺らしたのは、どちらの赤司だろうか。考えたところで分かるはずもないが、心の奥底に眠る赤司がそうさせたんだと思いたかった。



「花子の言いたいことはそれだけか?」


『・・・っ、』



冷たい視線がナイフのように振りかざされ、頬に寄せていたはずの右手は赤司に振り払われてしまった。

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