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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第43章 ヘマすんなよ






『引きづってるの?』


「はぁ?」



と山田の問いに思わず素っ頓狂な声が出る。
元カノのことを話したくなくて話さなかったわけではない。仮に真ちゃん含めたオレたちの間で恋バナとやらが開催されていれば、洗い浚い話していたことだろう。


しかしとんだ勘違いだが、自分だけ教えて貰えなかったと思い込んでいる山田は、それが余程嫌だったのかぷくっと頬を膨らませている。


その姿は控えめに言ってもとても可愛らしかったし、なんだかヤキモチを妬いているカノジョみたいだった。そんなことが嬉しいと感じているオレは、相当コイツに惚れてしまっているようだ。




「引きづってねぇよ。中2のとき1個上のセンパイと付き合ってた。」


『うんうん。』



なんて目をキラキラと輝かせて話を聞く姿は、どこにでもいる普通のオンナのコだ。




「センパイが高校行くようになって、だんだん会わなくなってさ。連絡もどんどん減って。・・・んまぁよくある自然消滅みたいな、そんな感じ。」


『なるほど・・・。それで引きづってるんだね。』


「おい、ちゃんとオレの話聞いてたか?」



珍しく真剣な顔をしたかと思えば、引きづっていると思い込んでやまない山田は“だから好みのコが選べないのか”と続ける。


言わずもがなだが、オレが選べなかった理由は真横に好みのコがいるからで、山田よりいいなと思えるコがパッと見いなかった。


それ故に、この結果なのだが。
この鈍感オンナは疑うこともなく勘違いに勘違いを重ねていく。




『何が“バスケしてる方が楽しい”よ。かっこつけちゃってさ、』


「だからオレの話聞いてる?」


『でも過去のことはすっぱり忘れてさ、新しい恋始めた方が』


「いるよ、好きな人くらい。」


『・・・へ?』



思わず自分の口から本音が漏れ、急いでこの手で口を塞いでみるも時すでに遅し。




『えー誰々?学校のコ?他校のコ?』



しっかりとその言葉は知られたくない相手に届いてしまっていた。そもそも言うつもりなどなかったが、山田にだけは新しい恋を勧められたくはなくて、気が付いたときにはこの様だ。



「オマエには絶対教えねぇ。」



そう言いながらも心の中では、前髪を伸ばそうかななんて考えていた。




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