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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第43章 ヘマすんなよ






「ちなみに女子の目線から見て、カッコイイって思うのはどういう選手だ?」



宮地さんの悪絡みからやっとこ抜け出せた高尾は、どっと疲れたのか一回りも二回りも小さく見えた。そして次なるターゲットに向けられたのは私だった。



「今緑間いねぇし、絶対に言わないから参考までに教えてくれよ!」



そう顔の前で両手を合わす宮地さんは、先月同じクラスの美人に告白するも玉砕したばかりだという。ちなみにこれで失恋記録は5連敗だと教えてくれたのは木村さんだ。


これといって追いかける選手はいなかったが、失恋ばかりの宮地さんを前にいませんとは到底言えず。



『強いて選ぶなら今月の月バスに載ってた、陽泉の氷室さんかな。』


「陽泉って確か、あの紫原のいる?」


『そうです。ほら、あそこでアップしてますよ。あの人です。前髪がちょっと長めの。かっこよくないですか?』



“強いて選ぶなら”なんて随分と達観したような前置きをしたが、実際氷室さんは密かにカッコイイなぁと思っていた。


実際話たことはないが、きっと彼の声は甘いルックスと同じように甘くて優しい声に違いないだろう。


なんて想像してしまうくらいには、タイプの人だし、宮地さんの言葉を借りるなら“どストライク〜”なのだ。



「女子はああいうのが好みなんだな。勉強になるわ。」


「決めた、オレも前髪伸ばすわ!」


「いや、宮地さん。そういうことじゃないと思いますよ?」


「あ?うるせーよ高尾っ!」


「オマエら、全員うるさい。黙って試合を見ろ!」



小馬鹿に笑った高尾に、宮地さんが人睨みしたとき、後ろから大きな声で会話に入ってきたのは、秀徳の部長大坪さんだった。


そして横でこっぴどく大坪さんに叱られている宮地さんを見て、“ざまぁ”なんて笑う高尾に素っ気なく問いかける。



『知らないのあたしだけ?』


「何が?」


『・・・年上の元カノジョ。』


「あれ?話たことなかったっけ?」


『聞いたことないよ。そんな話。』



自分のこの感情が一体何なのか、自分自身もよく分からないが、兎にも角にも知らなかったことが寂しく悲しかったのだ。


そもそも思い返してみれば、自分のことばかり話していて高尾の話を聞いたことなんて一度もなかったことに気がついた。



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