第43章 ヘマすんなよ
「あっちの高校のマネージャーも可愛いなあ。あ、でもこっちのコも可愛い。黒髪ショートとかどストライクなんですけど。木村はどのコがいい?」
テンション高めに身を乗り出してオンナのコを監察しているのは、先程まで開会式が長いと散々文句を並べていた宮地さんだ。
たった今黒髪ショートがどストライクだと言っていたが、その数秒前には低身長でメガネをかけたオンナのコを見て“どストライク〜”と言っていた。
きっと宮地さんはオンナのコなら誰でも“どストライク〜”なのだろう。
「んーオレはなー、やっぱり桐皇のマネージャーかな。美人だし、・・・なんたって胸がいい。」
「わーかーるー!やっぱり胸って大事だよな。」
なんて2人はさつきを見てニヤニヤと頬を緩めている。結局みんな胸なんだな、と寂しい自分の胸を見つめる。そんな私をバカにしたような顔で高尾は笑った。
「ないモンは仕方ねぇよ。」
『うるっさい!』
「おい、高尾!オマエはどのコが好み?」
さつきを見てニヤニヤしていた宮地さんが高尾の肩に腕を回し、会場にいるオンナのコたちを見渡す。
そう言えば高尾は一体どんなコが好みなのだろうか。美人?年下?それともやっぱり巨乳?
テスト前の話では今現在好きなコはいなそうだったが、過去に誰かを好きになったことくらいはあるだろう。そんな高尾のタイプがどんなコなのか、ほんの少しだけ興味が湧き思わず聞き耳を立てる。
「んー・・・、」
「どのコ?どのコ?」
「ここにはいないっすね。好みのコ。」
かなりの数のオンナのコがいるが、その中に高尾の好みのコはいないようで。それが宮地さんには面白くないらしく、悪絡みは続く。
「はぁー?すかしてんじゃねーよっ。選べよ。」
「だって、本当にいいなって思うコいないんすもん。ムリっすよ!」
「あー、分かった!」
わーきゃーと騒ぐ宮地さんの横で一緒に聞いていた木村さんが閃いたように手を叩く。
「オマエ忘れられないんだろ?前言ってた年上の元カノジョのこと。」
「なっ、違いますって!マジでいないんですってば!」
しどろもどろになりながら少し顔を赤らめた高尾に、年上の元カノジョがいたことを私だけが知らなかった。そしてそれがなぜだか少し寂しかった。