• テキストサイズ

緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第43章 ヘマすんなよ







なんとか期末試験を乗り越えた(留年も免れました)私たちは、今日から待ちに待ったウィンターカップが始まろうとしていた。




「くそ長ぇな、開会式って。」



開会式終了後、早々に文句を吐いたのは、他でもない宮地さんだった。声に出してこそは言わないが、宮地さんの言う通り開会式は偉い人たちのあいさつなんかがあり、とてもとても長かった。



秀徳の初戦は、明日で栃木代表の大仁田高校とだ。
トーナメント的に赤司のいる洛山と当たるのは、準決勝。


幸運(?)にも他のキセキの世代が率いる出場校は、山が違い、この準決勝が私たちの正念場になるのは間違いないだろう。


もちろん目指すのは洛山に勝つことだけじゃなく、てっぺんをとる事で、そこまでに対戦する他校のことも甘く見ているわけではない。初戦から足元を掬われぬよう充分に気は引き締めている。



そして試合のない今日は勝ち進めば当たるであろう他校の試合を見学することになっていた。そのために早速先輩たちと一緒に2階にある応援席に移動する。




『あれ?真ちゃんは?』


「あー・・・うん。ちょっと用があるってさ。」





さっきまで一緒にいたはずの真ちゃんがいないことに気が付き、横にいた高尾に問うとあからさまに視線をずらされ、言いにくそうな顔をした。そんな高尾に詰め寄れば、彼は渋々と重たい口を開いた。




「・・・赤司に呼ばれてるんだと。」


『私も行ってく』


「ダメだ!」



踵を返し来た道を引き返そうとした途端、言葉は食い気味に遮られ、腕は力強く掴まれる。



「・・・真ちゃんに絶対来させるなって止められてる。」


『でも・・・、』


「それにオレだって赤司の話を聞いたんだ。オマエを赤司と会わせるわけねぇだろ。」


『・・・分かった。』



今まで見たことのないくらい怖い顔をした高尾の視線とぶつかれば、縦に頷く以外の選択肢などなく、そうすればキツく掴まれていた腕は優しくあるべき位置に戻される。


応援席を確保した宮地さんが、こちらに向かって手を振り私たちの沈黙を破った。



「おーい、高尾と山田。ここ席あるぞ?突っ立てねぇで早く来いよ。」


「はーい、今行きまーすっ!」



本音を言えば真ちゃんと赤司のことが気になったが、そのまま高尾の後に続いて歩き始めた。

/ 355ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp