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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第42章 オレが、奪うぞ





・・・ちゃんっ!・・お兄ちゃんっ!


遠くで妹が呼んでいるような気がして、重たい瞼をなんとか持ち上げる。



「お兄ちゃんってばっ!!」



いつの間にか寝てしまっていたオレの目の前には、思春期真っ只中且つクソ生意気な妹が腰に手を当て仁王立ちで立っていた。


事後処理をきちんとしてから眠りについた自分を褒め、部屋にまで入ってきた妹を冷たく遇らう。



「んだよ、勝手に入ってくんじゃねぇよ。」


「お兄ちゃんが何回呼んでも出てこないからじゃん。もう何回呼んだと思ってんの?」


「・・で、何か用?カネなら今月はオレもねぇぞ。」



ぶつくさと文句を並べる妹がオレに用があるときは、大抵お金が足りないときなわけで。例に漏れず、今回もそうだと思い込んでいたが、何やら違ったようでニヤリと怪しく妹は笑った。



「ふふ。来てるよ。」


「だれが?」


「カ・ノ・ジョ。」



“オレに彼女なんていねぇぞ?”
そう言い放つよりも早く、否定しながら扉から顔を出したのは先程散々(頭の中で)犯した山田だった。なんだか急に恥ずかしくなり急いでベッドから降り、躊躇いながらも山田を部屋に招き入れる。



“ごゆっくり〜”、なんて営業スマイルを見せた妹は部屋から足早に出ていった。




『何度も彼女じゃないって言ったんだけど、信じてもらえなくて。』


「帰ったんじゃなかったのかよ?」


『うん、帰ったんだけどね、どうも教科書忘れちゃったぽくて。』



そう言いながら山田の指差した方へ視線をずらせば、机の上には山田花子と書かれた教科書が置いてあった。



「電話してくれれば、届けたのに。ってか真ちゃんは?」


外は既に真っ暗で、こんな中真ちゃんが山田を一人で行かすわけがない。それに加えてその行き先がオトコの(しかも気のある)部屋だとなったら、あの嫉妬深いオトコが黙っているはずがないのだ。


しかしその姿が見当たらなく不思議に思い山田に問いかけてみるも、返ってきた一言にオレは言葉を失ってしまった。



『内緒なの』


「・・え?・・は?」


『真ちゃんには言わないで来たの。だからここに真ちゃんはいないよ?』



なんて笑う彼女は、きっとオレの心の葛藤を何も知らないのだろう。


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