第39章 ・・・殺す
「山田、オマエに恨みはねぇんだけどよ、」
『じゃ、』
「でも、赤司にはある。」
『え?・・っちょ・・・やめ・・ってよ、』
厭らしい手つきで頬から首筋にかけてを撫で回しながら、右手ではしっかりとカッターをちらつかせていた。
「まじで暴れでもしたら、すぐ切るからな。」
『・・・っ、』
「これ以上傷増やしたくないだろ?」
その問いにこくんと、首を縦に振る。
すると灰崎の顔がゆっくりと近付き、あっという間に灰崎の唇が私のそれと重なった。
・・・っ、ファーストキスだったのに。
右も左も分からない私は目を閉じることも出来ず、初めてしたキスは想像していたファーストキスよりも遥かに冷たく、虚しいものだった。
ゆっくりと顔が離れるとそんな私の顔を見た灰崎は、驚いたような表情をした。
「まさかオマエ、初めてなのか?」
『・・・っ悪い?』
「いや、てっきり赤司か緑間あたりと経験済みかと思ってたから、」
ギロりとひとつ灰崎を睨むが、なんの抵抗にもならず、腕を掴む2人が経験のない私を小馬鹿にする。
「処女かよ、めんどくせぇな。」
「テキトーにヤっちまおうぜ、灰崎。」
「あぁ、分かってる。悪く思うなよ、」
そう言うと灰崎は私の制服のシャツを力任せに破いた。ブチブチブチとボタンははね飛び、薄いピンクの下着が露になった。
「へぇ、意外と胸あんじゃん。」
ペロっと舌を出す灰崎の目は獲物を狙うオオカミのようだった。すーっとキレイな手が伸びてきて思わず身体を捩る。
『辞めてよっ・・・・・灰崎っ、』
そんな私の願いも呆気なく、下着の上から胸を揉まれた。もちろんそんなことされるのも初めてだ。
『嫌だっ!やめてっ!!誰かいませんかーっ!!やだっ、やだっ、』
「おい、うるせぇぞ。」
『触んないで、やめっんんん!っんん!』
叫び続ける私の口を塞ぐように、灰崎がキスをする。分厚い舌が唇の割れ目を強引にこじ開けようと行ったり来たりしたかと思えば、目の前でカッターを見せつけられる。
それがどういう意味か直ぐに理解してしまった私は、頑なに閉じていた唇を開いた。