第39章 ・・・殺す
「花子っち、なんかご機嫌っスね。」
『え、分かる?』
「分かりやす過ぎっスよ。なんか良いことあったんスか?」
『ちょっとね。ふふ。』
なんて答えるくらいに、私の胸は高鳴っていた。
“部活の前に話があるの。”
“話ですか?”
“山田を次の部長に推薦したいなって。”
“ほ、本当ですか?”
“えぇ。だから、部活の前に少し話したいの。体育館倉庫に来れるかしら?”
その質問に二つ返事で答えた。
すごく嬉しかった。ずっと1軍でやってきて、部長になるということは私にとってひとつの目標でもあった。
そして憧れている松野先輩の後に自分がなれるかもしれない。そう思ったら嬉しくて嬉しくて仕方なかったのだ。
「花子っち、教えてくださいよ〜。」
『秘密ー、また明日ね。黄瀬くん。』
彼に手を振り走って体育館倉庫へと向かった。秘密にしたのは、この嬉しい話を真っ先に報告したい人がいたからだ。
他でもない。真ちゃんと赤司だ。
やはりこの2人へ最初に報告したい。その後さつきにも報告して、黄瀬くんにはそれから言えばいい。
そんなことを考えて、一人浮かれていた。
だからなぜ体育館倉庫に呼ばれたのか、このタイミングで話す理由はなんなの、不思議な点に気付きながらも深く考えることが出来なかったのだ。
『失礼します・・・。松野先輩っ、・・・もう居ますか?』
閉まりきらない扉を前に、もう中にいるのかと一歩足を踏み込む。5月だというのに外はじめじめと暑かったが、反面倉庫の中は暗がりでひんやりとしていた。
まずは体育館倉庫の電気を付けようとボタンを押してみるも、電気は全く付かなかった。
『・・・あれ?電気切れてるのかな。』
埃っぽい体育館倉庫は、跳び箱やマット、様々なボールなどが乱雑に置かれていた。普段は体育の授業でしか入らないが、改めてまじまじと見てみると割と広くて沢山の物がそこにはあった。
そうこうしているうちに、背中の方からガチャリという音がして振り返ると、そこには松野先輩と灰崎くんの他に知らない人が2人、ニヤニヤと笑いながら立っていた。