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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第38章 一発、ドーンと





“花子にはまだ話してなかったけどさ、”そんな前置きをしてから、鉄平さんはコーヒーを飲みながら怪我の経緯を話してくれた。



『そんなのって、あんまりじゃないですか!』



私の第一声はそれで、全く酷い話だと思った。
バスケにおいてラフプレーは多かれ少なかれ存在していたが、ここまで酷い話は聞いたことがなかったからだ。



「花子がそんなに怒ることじゃないだろ?」


黒飴でも舐めるか?なんてお得意のボケたフリをしながら、鉄平さんは笑っていた。



『その花宮真って人は、まだバスケやってるんですか?』


「あぁ、多分な。」


『秀徳に行ったら真ちゃんがボコボコにしてやるんだから。』


「そこはオマエじゃないのか。」


『いや、私だってその“悪童”を前にしたら一発、ドーンと殴ってやりますよ。』



会ったこともない人だが、実際それくらいにムカついていた。



「男とまともに話せないやつが、人を殴れるのか?」


『む、意地悪なこと言いますね。』


「ハハハ、その気持ちだけで十分だ。」



そう言ってから鉄平さんは私の頭をポンポンと優しく撫でた。他人に触れられることも嫌だったはずなのに、不思議と鉄平さんに撫でらるのは嫌じゃなく、むしろ心地良いとさえ感じた。




だから、“悪童”こと花宮真が目の前にいるこの状況に苛立ちながらも感謝すらしているのだ。


いつまでもバカみたいに笑う彼を睨む。



『・・・今日、会えて良かったです。』


「はぁ?オレはオマエみたいな虫唾が走るような良い子ちゃんなんて顔も見たくないぜ。松野がどうしても、っていうから捕まえたけどよ。」


ベンチに深く腰掛ける花宮の前に立つ。



「あぁ?んだよ、」


『あなたなんてっ、』



ビンタしようと思った。
思いっきり右手を上げて、勢いよく花宮の左頬を目掛けてその手を振りかざそうとした。

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