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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第38章 一発、ドーンと






「いやー忘れられたかと思ったよ。」



“そう言えば、名前教えてなかったよな?”

“この~木何の木の『木』に大吉の『吉』で木吉、鉄アレイの『鉄』に平社員の『平』で鉄平”

“実は先週も見かけてさ、もしかしたらいるかもって思って来てみたらビンゴ。”

“山田さんはどこか怪我でもしてるのか?”



彼は一方的に話を続けていた。
私が何かを話そうと口を開こうとしたとき、ナースさんが彼を呼んだ。



「今行きまーす。悪い、これからリハビリなんだ。また今度ゆっくり。」


『・・・・・っ、』



何も答えられない私に彼はニコっと優しく微笑むと、そのままナースさんの後を追ってどこかへと消えてしまった。


これが私と鉄平さんの2回目の出会いだった。


それから会う度に鉄平さんは色んな話をしてくれた。もちろん初めはオドオドしてしまったが、高校に行くのであれば、やはり他人と話せるようにならなければならない。


私はリハビリがてら、事ある毎に鉄平さんと会話を重ねていった。雑談だけではなく、勉強を教えてもらったり、ときには鉄平さんの部活の仲間に会ったり。


そうしていつの間にか、鉄平さんと私は兄妹のように仲良くなっていった。



「ちょっと外に散歩でも行かないか?やっと外出許可が出たんだ。付き合ってくれよ?」



寒い冬の日。
大学生に勉強を教えてもらったあと、松葉杖をつきながら歩く鉄平さんと私は病院内の庭へと出た。



『コーヒーとお茶、どっちがいいですか?』


「コーヒーにしようかな。悪いな。」



院内にある代わり映えのない自販機の飲み物を2つ買い、そのうちの1つを鉄平さんに差し出し中庭のベンチに腰掛けた。

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