第35章 幼なじみをやめたいんだ
「なんであんな話にのったんだよ、赤司。」
お前らしくないぞ、と付け足し赤司を睨む。
「花子のためだったらオレは何だってすると言ったはずだ、緑間。忘れたのか?」
「いや、とは言え黄瀬だって、」
「それは分かってる。紹介して黄瀬が松野先輩と付き合うかどうかは当人次第だ。強引に黄瀬に付き合わせるつもりもない。」
「・・・・・。」
「いいのか?これ以上酷い嫌がらせを花子がされても。」
「それは・・・・・、」
それ以上オレはなにも言わなかった。いや正確には言えなかった。
なぜなら小学生の頃からずっと隣にいた赤司とは別人なような気がしたからだ。
何が違うかと聞かれても具体的には分からないが、雰囲気や表情が危うく、まるで別人のように見えてならなかったのだ。
その危うい部分が崩れたとき、花子を守ることを大義に例え危険なことでもしでかしてしまいそうでオレは不安を感じた。
それと同時に赤司はそれほどまでに花子のことが好きなのだろうと思うと、少し羨ましくも思えた。オレには全てを投げ打ってまで花子を守る自信もなければこの幼なじみという関係を壊す勇気もなかった。
・・・負けを知らない赤司がライバルとはな。
そしてこの次の日、黄瀬と話をつけた赤司が松野先輩に黄瀬を紹介した。