第34章 ごめん、許してくれ
『どこにあったのっ?』
びっくりしてここが病院であることも忘れ、思わず大きな声がでてしまった。そんな私にうるさいと真ちゃんが小さな声で叱責を入れる。
「プールの底に沈んでいたのだよ。」
『もしかして、真ちゃんもプールに入ったの?』
「バカか?先生に頼んで水を抜いてもらったに決まってるだろう。」
そんな方法があったのかと感心している私に、真ちゃんと赤司は2人仲良く同時にため息を吐いた。
「花子が賢くないことくらい分かっていたが、まさかここまでとはな。」
「先が思いやられるのだよ。」
『ちょっと、人をバカみたいに言わないでよ!それよりさ、私なんで病院にいるの? 』
私の記憶はプールサイドに上がったところでパタリと途絶えてた為、今ここに至るまでの経緯が気になっていた。
「オレがプールで倒れてるオマエを見つけて、執事に頼んで病院まで連れてってもらった。」
「オレは後からだったが、オマエを見ときすごい熱でうなされていたのだよ。」
『そうだったんだ・・・色々ありがとうね。2人とも。』
「それで、今後のことなんだがどうする?」
『どうするって?』
赤司が何のことを言ってるのかよく分からず聞き返してみると、当たり前かのように語気を強めて今まで見たことのない怖い顔をした赤司がそこにいた。
「犯人だよ。」
『犯人って・・・やだな、そんな大袈裟な、』
「いや、笑い事じゃない。」
「そうだ、赤司の言う通りだ。もっと酷いことされるかもしれないんだぞ?」
真ちゃんと赤司が言ってることはもっともで、犯人を探し出して嫌がらせを辞めて貰うべきだろう。それは重々に分かっている。
分かった上で、それでもその気になれないのはここで犯人からの嫌がらせが終わっても、また新たな人が私を恨み嫌がらせをするのではないかという疑念があったから。
自分が類まれなバスケセンスを持ち合わせてるとまでは思っていないが、それでも帝光(ここ)にいる以上この才が目立ち恨まれてしまうのはもう仕方のないことなのだ。