第34章 ごめん、許してくれ
『それでも・・・やっぱり・・・あれ?』
何か考えていた花子だったが、話し出した途端頭を押さえた。
「おい、痛いのか?」
緑間の声掛けに花子はコクンと頷く。
点滴で頭痛と熱はある程度楽になっていたようだがまだ万全じゃなく彼女はそのまま黙り込み、すぐに深い眠りについた。
しばらくすると仕事を終えた花子のお母さんがやってきて、オレたちは入れ替わるように病室を後にした。
「赤司、何を考えている?」
「多分オマエと同じことだ。」
「犯人見つけたらどうするんだ?」
夜道を歩きながら緑間に問いかけられる。
先ほどまで湧き出ていた殺意はなくなり、冷静さを取り戻していた。その上で改めてどうしたいかと考えてみるが、答えはひとつに決まっていた。
「これも多分オマエと同じだと思うが、どんな手を使ってでも、嫌がらせを終わらせるね。」
「そうか。」
「明日から忙しくなるぞ。」
「あぁ、そうだな。」
オレたちは同じ目的に向かって動き初めていた。皮肉にも幼なじみは、同じ幼なじみに心を奪われている。言わば恋の好敵手。
他人の恋愛にさほど興味のない緑間に、オレの気持ちはきっと分かっりっこないだろうが、さしてそこは問題じゃない。
今重要なのは、花子が大切であるという原動力のみだ。それがあるオレたちは翌日、早朝からサッカー部、女子バスケ部に聞きこみを行った。
当の花子はというと、2.3日療養の為入院することになっていた。
そして、この日オレたちは真実へと確実に近付いていた。
「急に呼び出してすまない。」
「ここに座ってください。」
その人は緑間に言われた場所に腰を降ろすと、いつもと同じ表情のままオレを捉える。
すぐに謝れば・・・なんて思っていたが、もちろんそんなつもりも毛頭ないのか、その人は涼しそうな表情をしていた。
・・・最後に一度こちらから助け舟を出してみよう。これが最後のチャンスだ。
「なぜ呼ばれたか分かりますか?」
(「・・・松野先輩。」)