第34章 ごめん、許してくれ
『・・・・・んんっ・・・・あれ?』
目を覚ますと、見慣れない部屋のベットで寝かされていた。周りを見渡せばここが病院だと気付くのにそう時間はかからなかった。
時刻は夜の9時。
隣の椅子には険しい顔で寝ている真ちゃんと赤司がいた。
・・・プールでバッシュが見つからなくてどうしてたんだっけ?思い出そうと頭を捻ってもなかなか正解が分からず、うっすらとだるい身体を起こす。
その反動でベットのパイプがキキキキと高い音を響かせてしまい、寝ていた赤司が目を覚ます。
「目覚めたのか花子。大丈夫か?どこか痛いところはないか?」
いつも冷静な赤司が慌てている。
それほど心配させてしまったのかと思うと同時に、珍しく慌てている赤司が少し可愛らしかった。
ふふっと笑ってしまった私にキリっとした顔でこちらを睨む赤司。
「笑い事じゃないぞ。本気で心配したんだ。オレも緑間も。」
『・・・ごめん。』
そのあとすぐに真ちゃんも起き、覚えている範囲でことの流れを説明した。
バッシュが無くなり学校中走り回って探したこと、諦めて体育館に戻ろうとしたときプールに浮かぶ片方のバッシュがあったこと、もう片方は沈んでしまったのかもしれないと思い潜って探したが見つからなかったこと、休憩しようとプールサイドに上がったもののそこからの記憶がないこと。
「せめてプールに飛び込む前にオレでも緑間でも声をかけるべきだったよ、花子。」
「赤司に同意だな。」
ぐうの音も出ないとはまさにこのことだ。
でも私にだってそれなりの言い分があった。プールに落ちていたのがこのバッシュじゃくて他の物だったらこんな寒い日にプールに飛び込むなどバカみたいなことはしなかった。
このバッシュだから・・・・・、
ちらっと足元に置いてあるバッシュに目を向けると片方しか見つけられなかったはずのバッシュが両足揃って置いてあることに気がついた。