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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第32章 知らないフリをしよう





全中に向けて、着実に試合をこなしていた。
都予選、都大会、関東大会、全ての試合に勝ち続け私たちは全中に今年も出場することが決まった。


3Pのシュート率も真ちゃんとの自主練のおかげで上がり、今では帝光中のエースとして試合に出ることが多くなった。


同じポジションの松野先輩は、足の不調が続き1軍にいるもののコートに立つ時間は圧倒的に減った。


初めこそ気まずい空気を纏っていたが、今では最初の頃と同様またはそれ以上に親切に接してくれるようになり、一緒に戦うチームとして共に切磋琢磨していた。


それでも1つ、相談出来ないこともあった。


それはTシャツがたまに隠されることだ。


2週に1度だったのが週に1度になり、夏休み目前になると週に2度、Tシャツを隠された。


隠されたTシャツは、部室のゴミ箱に入っていたり、砂まみれになって下駄箱に放置されていたり、酷いときにはどこにあるのか返ってこないときさえあった。


もちろん腹も立つし、気分も悪い。犯人を探して一発殴ってやろうかと思える日もあれば、悔しくて泣きそうになる日もあった。



・・・誰が?なんの為に?



赤司を好きな女の子、もしくはバスケの試合に出れない部員が腹いせにやっているのではないだろうか、という仮説が私の中で成り立った。


それでも正気を保っていられたのは、大好きなバスケをしている毎日が楽しかったからだ。


試合に出れることが嬉しくて、シュートが入ると楽しくて、試合に勝てると歓喜の絶頂をむかえる。この一連の流れを知ってしまった私は、バスケをすることが心から楽しくて仕方なかったのだ。


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