第31章 楽しくてしかたないの
『疲れたーっ!』
どれくらい練習しただろうか。
汗だくになりながら、私たちはコートの上で寝そべった。すっかりあたりは真っ暗で、街灯と夜空の星だけが私たちを照らしていた。
「最近、灰崎は授業に出てるか?」
息を整えながら赤司が私に問いかける。
あのチャラチャラした不良がバスケ部だと知ったのはつい最近のこと。学校に来ないくせに、部活では真ちゃんたちと同じ1軍と聞いたときは正直驚いたものだ。
『あんまりかな。来ても寝てることのが多いよ。』
「そうか。何度も注意はしているんだがな・・・。」
赤司は思いやられると言わんばかりにため息を吐いた。
「オレは灰崎みたいな人事を尽くさないヤツは、嫌いなのだよ。」
「緑間、オマエの言ってることは正しい。だが実際、あいつは強い。」
「分かっている。・・・それでもあいつの素行の悪さは目に余る。花子、オマエもあんまり灰崎とは関わるなよ。」
『え、あぁ、うん。』
正直に言うと、真ちゃんが言うほど私は灰崎くんが嫌いではなかった。確かに学校に来ない不良だが、あいさつだってすれば返してくれる、見た目ほど悪い人じゃないのかもしれないと思っていた。