第31章 楽しくてしかたないの
6月。
バスケ部の練習は想像していたよりもハードだった。例え1軍であろうと1年生である以上、体育館の準備や後片付けなど、様々な仕事があった。
先輩たちに追いつくためには、部活の練習だけでは足りず振り分けテストが終わったあとも毎日のように真ちゃんと赤司と公園での自主練を続けた。
初めこそ3Pのシュート率が低かったものの、練習ではポジションが同じ松野先輩に、自主練では真ちゃんにアドバイスをもらい最近では平均して8割はシュートがはいるようになっていた。
真ちゃんに比べればまだまだだが、怖い人相の監督に褒められることもたまにあり(怒られることのが大半であるが)、それがとても嬉しかった。
そして、明日行われる照栄中との練習試合で私はベンチ入りが決定した。照栄中とは過去5年全中の決勝戦で必ずあたるほどのライバルチームだ。去年の全中は私たち帝光中が勝っているが、その前までの4年間は照栄中が優勝していた。
そんな相手との試合に、出れるかはさておき、目の前で見ることができることにとても興奮していた。
『明日午後、女子の試合見にきてよ。出れるかは分からないけど。』
「あぁ、必ず見に行くよ。」
『真ちゃんも来てよね。』
「行けたらな。」
公園でシュートを打ちながら真ちゃんは言う。明日1本も外すなよ、と。その放たれたボールは綺麗な放物線を描いてゴールに吸い込まれるように落ちていった。