第30章 私、シューターになりたいです
「さつきでいいよ。」
『よろしくね。』
一番最初に仲良くなったのは、スタイルが良くて美人な桃井さつきだった。
・・・おっぱい、大きいな。
今思えば失礼だが、私の彼女に対する第一印象はそれだった。お世辞にも大きいとは言えない自分の胸を見て、当時は何度もため息を漏らした。
私たちはバスケと幼なじみという共通の話題で分かり合えることも多く、仲良くなるのにそう多くの時間はかからなかった。
隣の席は灰崎祥吾という名で、気だるそうに雑誌を読んでいるその見た目は、よく言えば大人っぽい。しかし本音を言えば、チャラチャラしていて無愛想な感じがした。
『ね、本当に同い年?』
「はぁ?」
興味本意で聞いてみたものの、面倒くさそうに返事を返される。
『いや、その大人っぽいなって思って。』
気分を害さないように気をつけながら言葉を選べば、彼はまたもや気だるそうに雑誌へ視線を落とした。
「1つ上。ダブってるから、幼稚園のとき。」
『・・・へ?』
「え?冗談通じないタイプ?」
『あ、なんだ、冗談か。』
初対面でそんな高度な冗談を言い放った彼は、次の日から暫く学校へは来なかった。