第4章 正々堂々決勝で
『高尾、これはどういう状況?』
「派手にあいさつしてもらった所。」
真ちゃんの手、見てみろよ。そう言われ視線を落とすとそこにはぶっきらぼうな文字が並んでいた。
「普通に名乗ってもいかにも、覚えてないとか言いそうなツラしてるからな、オマエ。」
図星過ぎたが、笑っちゃいけないと思い、高尾と2人で必死に堪えた。
「先輩たちのリベンジの相手にはキッチリ覚えてもらわねーと。」
「リベンジ?随分と無謀なことを言うのだな。」
「あ?」
空気悪いよ、止めて!と思いを込めて私は高尾の背中を思いっきり押した。
「先輩から何も聞いてねーの?誠凛は去年、決勝リーグで三代王者全てにトリプルスコアでズタズタにされたんだぜ?」
バカ、加勢してどうすんのよ高尾!と思った頃には、時すでに遅し。
「息巻くのは勝手だが、彼我の差は圧倒的なのだよ。仮に決勝で当たっても歴史は繰り返されるだけだ。」
『もう試合始まるからコート戻るよ。』
2人の腕を少し強引にひっぱり、渋々と2人が歩き出したときだった。