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死の外科医と四季姫

第2章 ハートの海賊団との出会い


「『その血は年月が経つにつれ、薄くなっていきましたが、時々亜麻色の髪にアメジストのような瞳の子が生まれます。その子は、所謂先祖返りと言うもので、四季姫様の力を強く使えました』」

三人と一頭は診察台を囲むように移動した。眠るノエルの顔と、ローの持つ本を交互に見つめる。

「亜麻色の髪に……」

「アメジストみてーな目……」

「アイアイ! 俺さっき目見たけど、綺麗な紫だったよ!」

ベポの言葉で確信し、ローが焦ったように声を出す。

「こいつ…………四季姫だってのか⁉︎」

「四季島は最近バスターコールで…………」

その一言で、全員が納得した。海軍に追われていたのも、ノエルが自分達の事を知らないという事も。

「キャプテン、これからノエルをどうするつもりですか?」

ローはしばらく黙り込み、やがて口を開いた。

「仲間にしよう。故郷を焼かれ、海軍に追われ…………帰る場所はないだろうしな」

その言葉にベポ達はホッとした。そしてシャチは怪我をした事を思い出したらしい。ローに手当てを受け、元気よく街へ出かけていった。

ローはと言うと、眠るノエルを優しく抱き上げ自室のベッドまで運んだ。
その寝顔を見つめ、何故か頬に手を当てた。

(助けたのは、怪我してたからだ。それ以外に意味はねえ…………)

ぶつかられた時の事を思い出す。咄嗟に抱きとめたのはいつものことだ。ただ、目が合った時の事が忘れられない。

宝石……アメジストのような綺麗な瞳。何故だか目が離せなくなった。思わず、見惚れてしまった。

気恥ずかしくなり立ち去ろうとした。なのに助けを求められた。それに応えた自分の行動がわからない。

ノエルの前髪を払おうとしたところで我に返ったローは、たじろいで数歩下がる。
気を紛らわせようと本棚の本を物色する。

手に取った本のタイトルは『四季島と四季姫』だった。ちらりとノエルを見て、フッと口角を上げた。本人はそれに気付いていない。

結局、ノエルが起きたのはその日の夜遅くだった。
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