第2章 ハートの海賊団との出会い
「お前はどうして海軍に追われてた?」
ローの言葉に二人と一頭は驚きの表情でノエルを見るが、ノエルは俯いているために、その顔を見る事ができない。
バスターコールの事を思い出し、辛くなって俯いているのだが、ローはそれを何か後ろめたい事があると勘違いをしている。
「それは……」
言い淀むノエルを庇うようにベポが前に出る。
「誰にだって言いたくない事だってあるんだよ、キャプテン!!」
そーだそーだ! と声を上げるシャチやペンギン。ローは面倒だと言わんばかりにため息を吐き
「Room…………シャンブルズ」
一瞬にしてベポと場所を入れ替えた。驚き、顔を上げるノエルの口に、薬品を染み込ませた布を充てがう。
急な出来事に反応が遅れ、薬品を吸い込んでしまった。
フッと意識が遠退き、後ろに倒れる彼女の体をローが受け止めた。診察台に寝かせ、ベポ達を振り返る。当然、ベポ達からは不満の声が上がった。
「海軍の手先かもしれねぇ奴に、おれ達が海賊だって事を聞かれるわけにはいかないだろ」
ローは、ノエルが海軍の仲間で、自分達を捕まえるために演技をしている、その考えを持ち合わせているらしい。
「だとしても薬使って眠らせるのは……! それに俺、こいつのことどっかで見た事ある気がするんスよ! それも、ここ最近!」
シャチのその言葉にローは眉をひそめる。自分も同じ事を考えていたからだ。
見たとしても、何処で見たのか。それが思い出せない。
全員でしばらく考えていると、突然シャチが大きな声を出した。
「俺それキャプテンの部屋の本で見た! ほら、前にベポと三人で読んだ絵本!!」
自分の部屋に、絵本は一冊しかない。ローは能力を使い、手元に本を呼び寄せた。その本のタイトルは「しきひめさま」
少し古びているそれは、四季島で昔発刊された本だ。グランドラインにある四季島から、どうして北の海にまで届いているのか。
その答えは簡単だ。四季姫の存在を各地に伝えるためだ。しかし、その行動が裏目に出て、四季島は狙われる事になった。
ローは絵本をパラパラとめくり、目的のページを見つけ、読み上げた。